マルクスの経済学

カール・マルクスは有名な経済学者だ。マルクス革命という言葉も有名で、資本主義体制を批判する思想として知られている。しかし、実際にマルクスがどんなことを考えていたのかを知る人は少ない。今回は、(日曜日ともあって勉強する気力が薄いのもあり)マルクスの思想を生い立ちと『経済学・哲学草稿』から観察しよう。

 

マルクスはドイツに生まれ、はじめは経済学ではなく、哲学や法学などを学んだ。急進的なヘーゲル学派であるヘーゲル左派に与し、ジャーナリストとして左派的・資本主義批判的な論説を繰り返した。そのため、彼は亡命生活を続け、パリやロンドンへ滞在したりもした。ちなみに、かの名高い『資本論』はロンドンで書かれた。

 

マルクスエンゲルスと共に共産党宣言を発表したことで有名だが、その核になっているのは「社会構造」についての考えだ。社会は上部構造と下部構造の二重構造になっていると考え、下部構造が上部構造を規定していると考えた。簡単に言えば、上部構造は政治的構造で、下部構造は経済的構造を指す。つまり、経済システムが、政治的な体勢を規定するという考えで、これは史的唯物論やマテリアリズムとも関係が深い。そのため、社会変動というのは政治体制から変わるのではなく、経済システムから変わるとマルクスは考えていた。ソ連を建国した革命家のレーニンはこの考えを受け継ぎ、資本主義は自然に崩壊すると述べた日和見主義やカウツキー主義を激しく非難した(Lenin, 1917)。

 

マルクスは亡命先のロンドンで古典派経済学の書籍を大英博物館で読みあさる。マルクスは、古典派経済学の労働価値説(労働というものが富の本質であるとする考え)に着目した。たしかに、重商主義の貴金属が富であるという誤謬を克服したのは評価できると彼は述べたが、同時に、富の本質である労働は私有財産制の枠内におかれている点を指摘した。それゆえ、マルクスは人間そのものが私有財産になってしまっており、人間の労働は何重にも「疎外」されていると述べた。つまり、「私的財産の本質」は「疎外された労働」にあると述べたのだ。例えば、生産物が労働者に帰属しないという「労働生産物からの疎外」や、強制的な労働になってしまっているという「労働からの疎外」、そして単なる肉体的な生存手段としての労働を強いられているという「類的存在からの疎外」、それらすべての結果としての「人間の人間からの疎外」があるという。これらの疎外は全てが私有財産が原因であるため、私的所有制の廃棄をすることで労働者の疎外からの解放を出来ると書いたのが『経済学・哲学草稿』なのだ。その考えから、一般的にはマルクス革命とは私有財産制の撤廃を訴える運動を指す。

 

ちなみに、『資本論』はマルクスの作品として有名だが、彼が出版したのは第一部のみで、その後はエンゲルスマルクスの死後に出版した。

 

Lenin, V., Imperialism: the highest stage of capitalism, 1917.